2010年10月12日

『お江戸の役人』

中江克己氏の新著がPHP文庫より出版された。彼の「江戸学」に関する著書は,わかりやすく整理されていて,基礎知識として理解するのに最適と思っている。

本書も,江戸幕府の主立った役職を簡潔にまとめていて参考になる。

同様の書籍に山本博文氏の『江戸の組織人』(新潮文庫)がある。両書から江戸時代の役人の仕事や役割を理解できるだろう。

小説や映画,テレビの時代劇に登場する役人がどのような仕事を担当し,どのような地位にあり,上下関係や指揮命令系統はどうなっていたか等々をわかっているかいないかで内容の理解もちがってくる。

教科書ではここまで詳しくは教えない。簡単な江戸幕府の仕組み(職制)を教えるだけだ。それでは十分に江戸時代を理解することはできないが,だからといって職制を詳しく教えることも時間的にむずかしい。そのためか,生徒は現代の政治組織で江戸時代の職制を理解しようとする。これでは誤解を生みやすい。根本的にちがうということが理解しにくい。実は,このことは部落史の理解にも関係している。支配関係と指揮命令系統,江戸と各藩の相違などとも深く関係している。

せめて複雑な組織と職制,身分と俸禄など最低限の基礎知識は知っておく必要がある。


同じく最近,文庫版として山本博文氏の『大奥学』が出版された。これも複雑な大奥の内実を平易に解説しており,「江戸学」としての基礎知識を得るには最適な本である。

買い忘れていた中江克己氏の『お江戸の職人』(PHP文庫)が届いた。文庫や新書でも送料が無料になるAmazonをよく利用している。

中江氏のPHP文庫シリーズは,ほとんどが書き下ろしの新刊で,しかも「江戸学」がジャンル別・項目別にわかりやすく整理された解説書であるから,基礎知識を得るには最適である。さらに詳しく知ろうと思えば,関係の専門書を購入して読めばいい。

「江戸学」を単なる「雑学」の一種と見なす人間もいるが,私はそうは思っていない。江戸時代の幕府政治から庶民の生活までを包括的に把握する上で,基礎的知識は不可欠である。

身分制度や被差別民の実態について,その歴史的背景や周辺の実態を知るためには欠かすことのできない学問だと思う。

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posted by 藤田孝志 at 14:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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